金川耳鼻科皮膚科の金川久美副院長が執筆したダイキン工業のHPのコピーです。

美容皮膚科と環境

まず美容皮膚科とは、から始めてみます。医療技術の進歩は老化や事故などにより変化した皮膚の修復や予防を可能にしてきました。美容医療におけるメスやレーザー、ピーリングなどの外科的治療や、医薬品や機能性化粧品などを使った保存的療法などが、社会的要求の高まりにより急速に進歩してきました。つまり美容皮膚科学とは皮膚の老化や醜形に対する予防や治療に関する学問です。そして美容皮膚科学を取り入れた医療を「美容皮膚科」といいます。

 

美容と医療が接近してきた現在、美容についての知識を積極的に取り入れ、患者様の生活の質の向上を目的に美容医療を行って行くのも皮膚科医の大切な仕事と思っております。

 

次に美容皮膚科で何が出来るのかという問題に入っていきます。

  1. ドライスキン
  2. オイリースキン
  3. ニキビ
  4. しみ(肝班、そばかす、老人性色素斑)
  5. しわ(たるみ)
  6. あざ(血管腫、母班)
  7. ほくろ
  8. いぼ等(疣贅、脂漏性角化症、スキンタッグ、汗管腫)
  9. 毛細血管拡張(酒さ)
  10. 多毛症
  11. 脱毛症

端的に言えば、これらの疾患の改善です。

方法としては

  • 内服(トラネキサム酸、ビタミンC、ビタミンE等)
  • 外用(ハイドロキノンクリーム、ビタミンC誘導体クリーム・ローション、レチノイン酸)
  • ピーリング
    ケミカルピーリング:グリコール酸、サリチル酸、トリクロル酸、フェノール酸など
    皮膚削り術:ソルトピーリング、クリスタルピーリング(skinmicro abrasion)
    レーザー療法:CO2レーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザー、ダイオードレーザー、ダイレザー、等
  • 光治療器:IPL(Intense Pulse Light)
  • 高周波などによる皮膚の引き締め
  • ボトックス、ディスポート等によるしわの改善
  • コラーゲン・ヒアルロン酸注入

等がメスを使わない方法として用いられています。以上にあげた方法を複数組み合わせて、その人に合った形で治療してゆきます。

各論として主な疾患の治療法を説明してゆきます。

 

ニキビ

まず皮膚科医としては抗生物質・ビタミンB2・B6の飲み薬、ダラシン・アクアチム等の塗り薬を使用するのが普通です。その上で治り難い人には漢方薬を勧めたり、ケミカルピーリングを行います。ケミカルピーリングは主にグリコール酸を使用します。ニキビ跡で凸凹を作ってしまった人にはソルトピーリングなどの皮膚削り術をお勧めします。

 

しみ

しみと呼ばれるものにはたくさんあります。まずは
肝班:30〜40歳代に多くみられ左右対称に境界のはっきりした褐色の色素班です。治療はトラネキサム酸・ビタミンCの内服、ケミカルピーリング(グリコール酸)、ハイドロキノンクリームの外用です。

 

そばかす

遺伝傾向があり家族内に同じ症状の型がいることが多くみられます。黒い色素に反応するルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーによく反応します。
老人性色素斑:いわゆる“しみ”です。日光性黒子とも呼ばれます。40歳以降、顔面や手背および前腕などの日光露出部に多発します。ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレザーがよく使用されます。

 

脂漏性角化症

老人性のいぼです。盛り上がりの強いものは、液体窒素療法、レーザー療法等です。

 

しわ・たるみ

ボツリヌス毒素の注射によって筋肉を動かなくすることによりしわがよらなくなります。眉間の縦皺、おでこの横皺、カラスの足跡と呼ばれるしわ等によく効きます。またできてしまった皺にはコラーゲンやヒアルロン酸等の注入により皮下組織を厚くして力がかかっても皺になりにくくします。また最近はたるみの改善の目的として手術をしない方法では高周波などで皮下のコラーゲン生成・促進を目的とした治療法もあります。目の周りのたるみには眼瞼下垂手術があります。また高度のしわ・たるみにはフェイスリフトの手術が効果的です。

 

最後にむだ毛の治療について。

永久脱毛として、電気脱毛とレーザー脱毛があります。電気脱毛は痛みが強くまた時間もかかるので、最近ではレーザー脱毛がよく行われています。機種としてダイオードレーザーかアレキサンドライトレーザーが用いられる事が多いようです。毛根部の黒いメラニン色素に反応するため、細いうぶ毛には反応しにくく、黒く太い毛のほうがよく反応します。

皮膚と環境

皮膚は誰の目にもよくみえ、皮膚の様々な疾患がその人の日常生活まで影響を及ぼす事もよくあります。しみや多毛・あざなど生命に危険を及ぼすものではありません。ただ人によっては精神的苦痛を感じたり、生活制限が加わったりするときもあるのです。それらの原因を少しでも取り除き、生活の質の向上が出来ればすばらしい事だと思っております。またそれが出来る時代になったのだとも思います。

皮膚は全身を被っております。それ故に体調の変化・外界の変化などにも敏感に反応するでしょう。一年中エアコンのついている時代です。お部屋の掃除やエアコンのフィルターのそうじはまめにしましょう。湿度の調節に加湿器なども適宜使用されるとよいでしょう。また空気清浄機などで室内の空気をきれいにするのもよいでしょう。適切な環境のもとで健康な身体、生き生きとした皮膚も生まれて来るのです。

最近美容皮膚科の仕事をするようになって、患者様の皮膚をよりきれいにすることが出来るようになり本当に皮膚科の仕事をしていてよかったと思う様になりました。次回はケミカルピーリング、レーザー療法など今話題の治療法などをもう少し詳しく説明させていただきます。

著者プロフィール
金川耳鼻科皮膚科副院長
皮膚科
金川 久美
(かながわ ひさみ)
日本皮膚科学会会員
日本臨床皮膚科学会会員
日本美容皮膚科学会会員
本美容外科学会会員
神戸大学医学部卒
兵庫医科大学皮膚科学教室入局

兵庫県宝塚市山本にて
金川耳鼻科皮膚科を開院、現在に至る。

院長 耳鼻科 金川 清人
副院長皮膚科 金川久美